就労ビザ申請

代表的な就労ビザ

最もポピュラーな「技術・人文知識・国際業務」ビザ

最も代表的な就労ビザと言えば「技術・人文知識・国際業務」ビザです。以前は「技術」と「人文知識・国際業務」と別れておりましたが、平成27年4月1日の法改正で、これら二つのビザが統合されてできたものです。
 このビザは非常に該当範囲が広く、現在では会社で勤務する外国人の就労ビザを申請する場合は、この「技術・人文知識・国際業務」で申請する事が多いです。簡単に言えば、サラリーマンのビザです。

以前は、大学で専攻した学位と関連した業務に従事することしか認められていなかったため、何とか専攻と業務の関連性を認めさせるべく苦心したものですが、現在では大卒以上の学位を持っている方については「専攻と業務の関連性を緩やかに見る」という運用方針ができたため、現在では、許可を得るのにそれほど苦労しなくなりました。

 もちろん、どんな仕事でもOKというわけではなく、自然科学・人文科学・社会科学等の学術上の裏付けがある業務である必要があります。ですので、飲食店のホールや工場の生産ラインにつく業務などはNGです。

外国人特有の「技能」ビザ

 「技能」ビザは「外国人特有の技能」を持っている方を対象としたビザです。外国人特有というのがポイントで、日本で代替出来るような技能は対象外です。例えば、料理人とは「外国料理の料理人」でなければならず、日本料理や一般に広まっている洋食などはNGとなります。

 また、技能は法令で限定されており、外国建築物の技術者、外国工芸品の製造・修理技師、貴金属・毛皮の加工技師、動物調教師、掘削技術者、パイロット、コーチ等スポーツの指導者、ワインのソムリエ以外は技能ビザに該当しないとされています。

 技術・人文知識・国際業務ビザと異なり、技能ビザは審査が厳しく、審査期間も長期化する傾向があります。技能ビザの要件は実務経験によるところが大きいのですが、過去に経歴書の偽造が横行していたことがあり、審査官が海外の店舗を実態調査するのに時間を要するからです。また、思わぬ理由で不許可になることもあり、この点では専門家泣かせのビザであるとも言えます。

イベント開催のための「興行」ビザ

 外国人がイベントに出演する際に必要なのが「興行」ビザです。また、イベント以外でもレコーディング、映画の撮影、テレビ出演など、芸能人に関連する仕事を日本で行う際にも、興行ビザが必要です。また、メイク担当の方やマネージャなど、付き添いの方についても興行ビザの対象です。

 少し変わったところでは、大相撲の力士、競馬の外国人ジョッキーなども興行ビザを取得しています。力士の方々については、新弟子検査を受けて合格したら、そのまま興行ビザへの変更申請ができますが、これは入管側で特別に設けた運用です。以前は外国人力士の方々を東京入管で見かけたものですが、最近はあまり見ませんね・・・

 興行ビザはなんと言ってもスケジュール管理を厳格に行う必要があります。申請書をスピーディーに作成する事はもちろん、申請後の進捗管理、入管窓口との折衝など、無事に来日するまで緊張する日々が続きます。例えば、格闘技のイベントに出場する外国人選手がケガをして、リザーブの選手が突然、出場決定なんてことがあります。こうなると本当に大変です。

「転勤」があった時はどうなる?

 グローバル企業に勤務している外国人従業員が転勤になった場合、「企業内転勤」ビザか「短期滞在」を検討します。転勤と言っても、3ヶ月以内短期の場合などは、わざわざ就労ビザを取得する必要はないですので、海外の日本大使館で短期ビザを取得(場合によってはノービザ)で来日すれば良いです。

 一方で、長期間の転勤になる場合は「企業内転勤」ビザを取得する必要があります。このビザが技術・人文知識・国際業務ビザと違う点は、日本の転勤先企業と雇用契約を新たに締結する必要はなく、現在勤務している海外企業との雇用契約がそのまま存続する点です。もちろん、社会保険料などは支払う必要があります。

 転勤で来日したからと言って、期間延長はできないかというとそういうことはなく、来日後、普通にビザ更新が可能です。では、いつまでいられるのかというと、これも明確な指針はなく、理論上、「会社の命令であるならいつまでも」という取り扱いになっています。

他にも色々ありますが・・・

 就労ビザは、他にも「芸術」・「教育」・「研究」など、色んな種類があるのですが、ここでは代表的なものだけをピックアップしてみました。

 最近は、外国人従業員を一定数以上、雇用している企業では、行政書士のような専門家を顧問とすることが多くなってきました。社内でビザに詳しい人材を育てるのは大変だから、丸ごとアウトソーシングするという経営判断なのだと思いますが、これからますます複雑化する出入国在留管理制度に向けて、そのようなニーズがますます増えてくるのではないでしょうか。

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